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文部科学大臣
中 山 成 彬 殿
「サッカーくじ」の廃止を含む見直しを行うよう求めます
1、スポーツ振興投票法付則第3条にもとづき、見直しを行うことを求めます。
2004年度のサッカーくじの決算は、会計検査院の指摘もあって、累積赤字が154億円になっていることが明らかにされました。サッカーくじの売上げは、2001年度の642.7億円から04年度には156.9億円へと激減し、助成金も02年度の57.8億円から、05年度はわずか2.5億円へと激減しています。しかも、04年度についていえば、154億円の累積赤字があるにもかかわらず、それを隠し、助成金を支出するという不明朗な会計運営が明らかになっています。その一方で、国の体育・スポーツ関係予算は、サッカーくじ実施以前の水準から後退しています。
こうしたサッカーくじの5年間の経過と今日の事態は、「スポーツの振興に寄与することを目的とする(スポーツ振興投票の実施等に関する法律第1条:サッカーくじ法)」という大義名分が幻想であったことを明確に示しています。サッカーくじ法の存在根拠が失われている状況にあって、この法律の廃止を含む「見直し」を早急に行うべきだと考えます。
さらに、サッカーくじ法付則第3条は、「施行後7年を経過した場合においては、この法律の実施状況に照らして、スポーツ振興投票制度のあり方について見直しを行う」としており、11月19日がその期日となっています。この規定に基づき見直しを行うことを強く求めます。
2、サッカーくじの見直しに当たって、以下の理由でサッカーくじそのものの廃止を強く求めます。
・国民的な批判を無視した、なりふりかまわぬ販売対策をとっても売上げが激減しており、これは、サッカーくじの廃止への国民の明確な意志の表明です。早急に廃止を決断すべきです。
04年度の売上げは157億円となり、最高時645億円のわずか24%にまで激減しました。その過程で、トトゴールやトトゴール3を導入し、当選確率を当初の160万分の1から4000分の1にし、さらに来年度は243分の1のトトファイブを導入するとしています。「ギャンブルではない」との当初の主張は全くホゴにされ、公営ギャンブルそのものとなっています。これ以外にも、コンビニ販売の実施、賞金額の倍増、競技場販売、19歳未満への販売禁止や対面販売の原則を形骸化するインターネット販売など、国民の強い批判を無視した、なりふりかまわぬ販売対策を強行しての結果であり、国民の明確な判断を示すものです。これ以上無駄な努力を行うよりも、きっぱりと廃止することです。
さらに付け加えれば、サッカーくじ導入のモデルとされたイタリアのトトカルチョは、93年を境に激減し、04年には最高時の26%にまで落ち込み、「廃止」の危機を迎えています。この点からもサッカーくじの廃止は、時代の流れとなっています。
・スポーツ振興の資金確保の役割を果たせず、国民の税金の投入さえ危惧されるようなサッカーくじは一刻も早く廃止する決断をすべきです。
サッカーくじの収益金によるスポーツ振興のための助成金は、売上金の激減にともない、当然のことながら激減しています。初年度こそ57億円となりましたが、04年度はわずか2.5億円にとどまっています。これさえも、累積赤字を隠して経費の節減などで捻出した苦肉の策にすぎません。
一方、文部科学省の体育・スポーツ関係予算は、サッカーくじ実施前の2000年水準から後退し、サッカーくじの助成金と相殺しても5年間で約180億円減少しています。
これは、サッカーくじは「スポーツ振興に寄与することを目的とする」(スポーツ振興投票法第1条)としている法律の存在意義そのものが問われる事態になっていることを示しています。このまま続ければ、借入金の返済のめどが立たないばかりか、サッカーくじの収支自体も赤字の危機を迎えています。こうした事態が進めば、国民の税金の投入さえ避けられないでしょう。これ以上傷が深くなる前に廃止の英断をすべきです。
3、ギャンブル収入に依存したスポーツ振興策をあらため、国のスポーツ予算の増額を基本とするスポーツ振興策への転換を求めます。
ギャンブル収入に依存するスポーツ振興策としてのサッカーくじの破綻が明確になった今日、スポーツ振興策の転換が必要です。この際、ギャンブル収入への依存をきっぱりとあらため、スポーツ振興の財源は、国民の権利であり文化であるスポーツにふさわしく、国と自治体のスポーツ予算の増額を基本とする、本来のあり方に転換するよう強く求めます。 |